私も禿の仲間入り
それは突然始まった。
2001年9月22日、突然髪が抜け始めた、それも大量にシャンプーをしていてもごそっ、ブラシで梳かしてごそ、ドライヤーを掛けていてごそっ、それは恐ろしいほど抜けてきた。
たった3日間で、上記のようになってしまった。今はもっとひどい、抜け毛だらけの状態。これは紛れもなく円形脱毛症という病気である。丁度更年期の年齢でもあり、また娘の進路などで大変悩んでいたこともしかり、ましてやストレスの多いこの職業、そして過度のダイエット(これは自分のためであったが・・)本来は、性格もあっけらかん、髪の多い私にはなり得ない病気だと高をくくっていたのに(-.-;)凸
当初、これは病気ではなくストレスだとばかり思い、フロージン液を塗布していただけだった。しかし、これはなぜなるのか知りたくなり、調べることにした。
【円形脱毛症とは】
そもそも人間の全ての毛には毛周期というものがある。
毛周期には
成長期:毛が発育・成長する期間
退行期:毛の成長が停止する期間
休止期:毛が脱落する期間
上記から成り立ち・休止期が終われば、また成長期へというサイクルが繰り返される。頭髪の毛周期は一般的に成長期は6~8年、退行期は2週間、休止期は3~4ヶ月。
頭髪は約10万本ほどで、1日50~100本くらい抜けても生理的脱毛であり、なんら病気ではない。毛は一本一本が独立して毛周期を営んでおり、ある部分のみ抜け落ちたり、命日の抜け毛が生理的範囲を超えれば病気である。
円形脱毛症はその名の通り、病気であるが、頭髪のみが犯されるのではなく、全身の毛の病気なので、体毛も抜ける場合がある。発生頻度は100人に1~2人、年齢は20代~30代が多いとされるが、0才の乳児から80才の老人まで幅広い、いずれの年齢でも発症する病気である。
【原因】
以前はストレス説が主流であったが、最近は自己免疫異常によるものだと分かってきました。そもそも免疫とは身体にとって、悪いものの侵入や増殖から身体を守るための人間のシステムです。言い換えれば、身体の抵抗力のことで、人間が風邪を引いて自然にしてても治るのはリンパ球を初めとする、免疫に関わる複数の細胞が、風邪ウィルスを排除しようとするからです。この免疫力が自分に向いてしまった疾患を自己免疫疾患といい、膠原病・若年性糖尿病・悪性貧血・など様々な病気があります。円形脱毛症もこれらの病気と同じで、免疫システムに異常を来し、リンパ球が発毛に関わる細胞を身体の敵と勘違いして攻撃するから発症するのです。
【タイプ】
頭髪や体毛の抜け方によって4つに分類されます。
単発型脱毛症 : 脱毛が一カ所のもの
多発型 : 数個の脱毛
全頭型 : 頭部全体の毛髪が抜けている
汎発型 : 頭髪、眉毛、腋毛、陰毛、体毛が抜けている場合
【合併症】
アレルギー性疾患(アトピー性皮膚炎・アレルギー性鼻炎・気管支喘息・アレルギー性結膜炎などを合併することが非常に多く、半数以上の例に認められる。小児の場合や、重傷例では更に合併症率が高くなる。甲状腺機能障害を合併することがあります。
爪の変化
爪に針でボツボツ穴をあけたようなへこみができることが多いが、横溝ができたり、濁ったりする事があります。毛と爪は同じケラチンというタンパク質からできているので、ともにリンパ球に攻撃されるためと考えられています。
【診断と治療】
円形の脱毛斑という特徴的な臨床症状により容易に診断される。但し部分的な円形にならず、ちょっと毛を引っ張るだけでどこからでも抜ける場合もある。これは円形脱毛症の急性期で、全頭型脱毛症に移行する可能性がある場合です。鑑識すべき疾患としては、ストレスなどで自分の毛を抜いてしまう抜毛癖(トリコチロマニア)分娩後や高熱後などの原因の休止期脱毛、白癬菌(水虫)などによる感染症が原因の脱毛症外傷後の脱毛症、男性型脱毛症(いわゆる若禿)びまん性脱毛症などがあります。
治療の前に血液検査をすることがあります。これは前述した合併症の検索や今後の治療方針を決めるために行われます。
治療は
症状、年齢、副作用などの総合的に考慮して行われます。
セファランチン
抗アレルギー剤の内服
副腎皮質ホルモンの外用
局所注射
PUVA療法(長波長紫外線療法)
局所免疫療法
液体窒素冷凍凝固術
など、組み合わせて治療される。
単発型脱毛症では抗アレルギー剤と副腎皮質ホルモン薬の外用を
多発型脱毛症ではそれに副腎皮質ホルモンの局所注射など、
全頭型や汎発型では全身PUVU療法や副腎皮質ホルモン薬の内服を組み合わせる。
急激に大量の抜け毛がある場合は早い家にある程度の量の副腎皮質ホルモン薬の内服が必要になる。
どのタイプであっても、重症型へ移行する可能性があるのでそのためには早期治療が重要です。また美容的な問題から患者の心理的負担は他人が思う以上にとても大きいため専門的な精神的サポートが必要な場合があります。最近のかつらやつけ毛はかなり旨くできているので、思い切ってそれを上手に使うことも大切です。
円形脱毛症の予防法は今のところ完全なものはありません。脱毛を繰り返したり、なかなか毛が生えないこともありますが、殆どの例では、数年以内に完治することができます。専門医の元で諦めずに根気よく治療をすることが大切です。
編集後記
セファランチン末プレドニゾロン(副腎皮質ホルモン剤) 一日3回 毎食後
トプシムローション 1日3回塗布
PUVU療法(週1回)
まだ治療して数週間、抜け毛が無くなったわけではない。
しかしながら、多少ではあるが、あの禿げた部分から小さな毛が生えてきている。もう半年もすれば、その毛が伸びてくると思われるが、今残っている毛にはもう力がない。きっと残っている毛が全て落ちてしまうと思われる。しかし、抜ける毛もあれば、生えてくる毛もある。気長に治療に専念するしかないと思われる。
このページを立ち上げる気になったのは、このような人がたくさんいること。そして治療を途中で諦めてしまうこと。絶対に直すという気力が大事であること。私も出かけるときは、付け毛を付けて外出している。それも殆ど周りには気づかれない。まだ全頭ではないので、ピンが止まるだけの毛があるだけ救われている。